告別式における喪主の役割とは

まず最初に知っておいてもらいたいのが「葬儀」と「告別式」の違いです。
最近ではあまり意識せずに同じ意味で用いられていることが多いようですが、本来的にはこの2つは主旨が大きく異なります。

「葬儀」というのは故人を導師の導きによってあの世へと安らかに送り出し成仏を促すというための式です。
もう一つの「告別式」はいわば故人を偲ぶためのセレモニーであるため、一般的なお葬式においては先に「葬儀」を行い一旦退席をしてから再度入場をして告別式を行うようになっています。

神式やキリスト教式の場合はまた違った宗教的な意味があるのですが、参列者の混乱を避けるために通常は同じような式方式で進行されるようになっています。

喪主の挨拶は葬儀・告別式の両方が終わった最後の最後の締めの場面で、喪主挨拶のあとは司会者による閉会の辞によってお開きになります。

葬儀・告別式当日の喪主は遺族とともに式が開始となる15分くらい前には入場をしておき、着席をして参列者が揃うのを待ちます。

式場でお迎えをするのは喪主や親族ではなく別に依頼をした受付係で、式が始まる直前にいただいた香典に封をして会場に入るようにします。

出棺直前の喪主の挨拶のポイント

芸能人や有名人が亡くなった時には、テレビなどのメディアで感動的なスピーチが行われたというようなことがしばしば報道されます。

しかしそうした情感を込めた素晴らしいスピーチというのは主に友人代表が行うものとなっており、喪主は自らの感情を露わにした挨拶をすることは普通はありません。

というのも「喪主」という立場はあくまでも葬儀の代表者であり、故人に成り代わって訪れてくれた人にお礼をする立場にあるからです。

必然的に喪主の挨拶は故人に対してのものではなく、集まってくれた人たちへのお礼や手伝ってくれた人たちへの労いを示すものとなります。

必要最小限の挨拶ということで済ませるならば、以下のような文面が模範的な内容です。

「遺族を代表し、一言ご挨拶を申し上げます。
本日はお忙しい中、(○○の葬儀に)お集まりいただきありがとうございます。
遺された私どもは未熟者ではありますが、今後共故人同様ご指導、ご鞭撻賜りますよう御お願いいたします。
本日は誠にありがとうございました。」

ただこれだけでは少しそっけない印象にもなるため、何か生前のエピソードをいくつか挟んで紹介をしていくことで葬儀の席らしくすることができます。

注意すべき点としては、葬儀の席にふさわしくない「忌み言葉」を使わないようにするということと、冗長になりすぎないように短めにまとめたスピーチにするということです。

なお告別式の最後に喪主の挨拶を省略する場合もあり、その時には出棺直前に同様に行われます。