地域ごとの葬儀が継続している栃木県

栃木県は一応は関東圏として分類をされているものの、神奈川県や埼玉県のように都内と近い距離にあるわけではないことからベッドタウンとしての機能はほどんど備わっていません。

逆に言うと都内からベッドタウンにかけて見られる無個性な文化に侵食されることなく、現在まで栃木県独自の文化が継承されているということになります。

栃木県の葬儀の特徴としてまず挙げられるのが「隣組」という地域のコミュニティです。
「隣組」は区長や班長といった地域の代表者が中心となって組織される団体のことで、葬儀の席においては「葬儀委員長」という名目で場の仕切りを行います。

地域によっては「組念仏」という隣組が上げるお経が残されているところもあり、かつての冠婚葬祭をムラぐるみで行っていた形跡が伺えます。

「隣組」は実質的に葬儀の仕切り役であるため、他の地域においては親族が自分たちで相談しながら行うべきことを全て地域で代行してくれることになります。

外部から栃木県に移住した人にとってはちょっと戸惑うところですが、地域の相談役を立てて冠婚葬祭を行うことにより地域コミュニティの結束を固めることができるというメリットもあります。

他にも栃木県内の葬儀においては「花籠振り」や「めかい籠」といった用意しておいたカゴを転がすことで縁起をはらうといった風習があり、文化的に見るべきところが多い地域と言えるでしょう。

葬儀社は地元の事情に詳しいところを選ぶべき

現在、全国的に簡単に葬儀を依頼できる葬儀社が多く出店していますが、栃木県内においては都市部と同じような形式は通用しない部分が多くあります。

同じ栃木県内であっても、足利市や栃木市、那須町のようにかなり特殊な方法で葬儀が行われることもあり、都内と同じ感覚で計画をするのは難しいのが現状です。

栃木県内の公営斎場は全部で13ヶ所あり、その他にも民営のセレモニーホールが数多く運営しています。

人気の高い施設として「宇都宮市悠久の丘」があります。
こちらは公営施設となっていますが、指定管理者である「宇都宮郷の森斎場株式会社」が運営する施設です。

式場は150人規模のものが2ヶ所あり、火葬棟が併設されていることから利用しやすく運搬費用のかからない場所として高い人気となっています。

民間斎場施設としては鹿沼市に本社のある株式会社おおのによる「おおのホール」が有名で、宇都宮市や鹿沼市、壬生市、あわの地域で葬儀を受け付けています。

民間の斎場の場合、現在ニーズの高い少人数での家族葬や直葬といったものも取り扱ってくれるため、地域密着の葬儀をしたくないという人は一度相談をしてみるのがよいと言えます。