多様化する葬儀の形と風習

日本においては仏式の葬儀が一般的です。
しかし冠婚葬祭においても葬儀は地域独自のコミュニティや習慣・風習の色を強く映すものであることから、行われる場所により独自のルールがあることも珍しくありませんでした。

ところがここ近年においてはそうした地域独自の風習に従った葬儀は減少傾向にあり、より小規模な葬儀が好まれるようになってきました。

これは核家族化やライフスタイルが変化したことで何代も前からその土地で生活をしてきたという人が減り、多くの人が先祖のゆかりのない引越し先の土地で葬儀を開くことが多くなったことが関係しています。

地域の共同体が強く働いていた時代においては葬儀の時には家族や親類だけでなく近所の人が参列をするのが当たり前でしたが、現在では参列者は血縁者が中心となり、仕事や友人関係でつながりのある少人数に限定されています。

こうした小規模の葬儀の方法を「家族葬」や「密葬」と言い、さらに「直葬」という葬儀そのものをしない方法をとる人も増加してきているようです。

参考>>葬儀の種類(表現文化社)

特に都市部においては身内だけで通夜・告別式を行う「家族葬」のニーズが高く、できるだけお金をかけないように葬儀をしたいという意識が反映されています。

葬儀方法別の特徴と選び方

もう少しそれぞれの葬儀方法を説明していきます。
まず「家族葬」ですが、これは参列をするのは基本的に家族・親族のみとなっています。

場合により親しい付き合いをしてきた友人を加えて行うこともありますが、基本的にあまり大きく周囲に告知をせず少人数のみで故人を見送るようにしています。

「家族葬」の場合一般葬のような参列者へのおもてなしが必要ありませんので、通夜ぶるまいや待機時の接待など面倒な手間が大きく軽減されます。

古い葬儀においては故人を見送るというよりもそれにより地域の人たちと交流をするという側面が強かったため、あえてその部分を削ることで純粋に故人を見送るための式ができるというところにメリットがあります。

よりコンパクトに行うのが「直葬」で、葬儀式そのものを開催せず病院から遺体を引き取ったあとすぐに火葬場に直行してそこでお別れをします。
必要な費用は運搬費と火葬費用のみで約20万円程度で済みます。

小さな式として「密葬」というものも行われますが、こちらは「家族葬」と異なりあとで大きな本葬をすることが全体となっています。

会社の役員や経営者など、社葬として大きな式が必要な場合に会社と直接関係のない家族や身内のみで故人を送るための式として選ばれています。

他にも「無宗教葬」や「お別れ会」「合同葬」など一般葬とは異なる葬儀が都合によって開催されます。